7月研究発表会終了報告
研究会発表題目:『最近中国の教育』
二松学舎大学 溝口貞彦教授
平成15年7月19日 PM5:00〜PM6:30

 今回の溝口先生の発表によって、中華人民共和国の成立から現在の胡錦涛国家主席の時代に至るまでの、中国の教育の変遷が明確に把握できる有意義な研究会でした。
 溝口先生の発表のための準備と長い年月にわたる精力的な研究の蓄積があったればこそと、企画した研究部はもとより学会として、深甚なる感謝の意を表します。
 この発表は、中国の教育の現状を知るばかりではなく、我が国の漢字・漢文教育について考える際に重要な参考となると思いました。参加者の中から、是非活字にして学会誌に掲載して欲しいという声もありました。編集部とも協議し、実現の方向で検討したいと思っています。
※ 発表の概要は以下の通り。時間の関係でBについては懇親会で活発な質問・討議が行われた。

A 現代中国教育の流れ
 1 第一段階 毛沢東指導の時期(1949〜76) 政治のための教育
  ア 第1期 建国期(1949〜57)…ヘーゲルの「正」の時期
  イ 第2期 大躍進期(1958〜65)…「反」の時期
  ウ 第3期 文革期(1966〜76)…「十年の動乱」の時期
 2 第二段階 搶ャ平指導の時期(1977〜97) 経済発展のための教育
  エ 第4期 改革・開放期(1977〜89)…危機の転換
  オ 第5期 高度成長期(90年代)…発展期
 3 第三段階 最近(1998〜現在) 国民のレベルアップのための教育
  カ 第6期 最近(1999年〜現在)…現代化の推進

B 新教育課程の「語文」
 1 小学語文
  ア 常用漢字…小学6年間で、約3000字を習い、うち約2500字が書けること。
  イ 課文…優秀詩文約150篇を暗誦すること
  ウ 課外読物…約150万字を読むこと
  エ 課内習作(作文)…1学年に約16回(高年級は一回約400字を40分で仕上げる)
 2 中学語文
  ア 常用漢字…初級中学3年間で、約3500字を習う
  イ 課文(優秀詩文の暗誦)…1学年60篇(計180篇)以上、うち古代詩詞と文語文を約30%
  ウ 課外読物…約80万字
  エ 課内習作…1学年に14回以上(一回約500字を45分で仕上げる)

C 中国教育の基本問題
 1 中国教育の発展
  ア 文盲率の大幅な低下
  イ 小学義務教育の基本的達成
  ウ 進学率の向上
  エ 大学の拡張
 2 問題点
  ア 西欧・日本の教育課程の導入(模倣)、伝統的注入・暗記中心の教育方法との矛盾
  イ 農村部の教師の質が低いこと、代課教師の多いこと
  ウ 教育財政の欠乏


(文責:研究部・溝口)